「国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源」を読んだよ

先週はワクチンの副反応で死にかけててお休みしました汗

あんなに大変とは聞いてなかったですね!死ぬかと思いましたわ・・・

 

さて、全然、フランス革命と関係ない本を読んでます。

ダロン・アセモグル&ジェイムズ・A・ロビン著
『国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源』
(ハヤカワ ノンフィクション文庫)

 

とりあえず通読しましたが、上下巻飽きずに、スリリングに読めました!面白かったです!最近のテーマ、疑問として中国のこれからについて、あれこれ考えていましたが非常に役立ちました。

 

<包括的/収奪的な社会制度>

とりあえず、上巻の前半を見直していますが、

ラテンアメリカ:16世紀の植民地支配、エンコミエンダ制やミタ制など、

現地の支配制度を利用した形での、搾取的社会制度を確立

→収奪的な社会に

 

北部アメリカ:人口密度が低く、ラテンアメリカで行った植民地経営が役立たない。

各地で小作人に土地を与えインセンティブを与えつつ、民主主義的な

社会制度が根付く。後の合衆国に。

→包括的な社会に

 

これらの包括的/収奪的社会の歴史的な軌跡が、今、その地域の経済的状況を反映しているという流れで論が展開されていくけど、途中、いろんな繁栄と貧困のステロタイプな「説」を論破していくところが大興奮!これはぜひ読んでほしい。

 

そして、植民地支配が終わってからも収奪的な社会制度を現地の有力者が継承して搾取が継続する仕組みも面白かった。現在の共産主義圏も、一部包括的な制度を取り入れている中国、全く中央集権的搾取体制の中央アジア北朝鮮。収奪的な体制だったが、崩壊した中東の独裁国家などなど。19世紀から現代までの経緯もなんとなくすっきり。

現在の中国は鄧小平体制の次の一手で攻めあぐねているように見えるけど、イノベーションが社会の内部から起こるような循環が作り出せるかがカギになる…と思った。

 

イノベーション/テクノロジーの発達>

ちょっと注目したのが、特許制度についての項。1623年に英国議会が制定した専売特許条例によって体系化。国王が自分ののぞむ人物に、事実上、ある一定の活動や事業に着手する独占権を認めることによって「特許証」をかってに与えるのをやめさせる試みの移管だった。それまでの絶対王政の統治下では優れたイノベーションが出てきても、君主が社会変革を恐れてその試みをつぶしてしまう。

この辺が結構気づきのポイントだったなー。産業革命まで、直線的なテクノロジーや資本の蓄積がなされていたわけじゃなく、政治制度の変革が少しづつ旧態依然な社会を変革させつつ、17世紀、18世紀に爆発していく。

 

あと、別でイングランド名誉革命は勉強しないとなー、と感じる。

 

ほな、PCの電源なくなりそうなので今日はこんな感じで。

 

「物語 フランス革命」を読んだよ!③

10月にもなると今年も終わり…て感じますね。年をとるごとに時間の流れが早くなっていることを感じますわ。

安達正勝著「物語 フランス革命」を読了。やっぱり、噛めば噛むほどフランス革命って面白いムーブメントだったと感じますね。今回読んだ王政打倒から恐怖政治のあたりなんか、ホント近代の怪談。理想を求めて作り出された組織が気づいたら粛清の嵐に…

 

ロベスピエール

やっぱ、知ってたけど、ロべスピエールがやっぱメチャやばいんだよな…

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すごい平和そうな顔しながら、理想の社会を作るという崇高な目的のために、とてつもない人間を断頭台送りにしてしまう…

歴史の皮肉の頂点に立つ男、そんな感じ。1793年12月革命政府の成立の際のロべスピエールの演説が本書に引用されているけどメチャメチャトリハダものの演説。

 

「自由と平等を心静かに享受することである。この永遠の正義が世に君臨することである。自由と平等の原理が刻まれているのは大理石や石にではなく、すべての人間の心の中である。自由と平等を忘れてい奴隷の心の中にも、これを否定する暴君の心の中にさえも刻まれている。
我々は低俗で残酷なあらゆる情念が鎖につながれ、心広くも全をなそうとするあらゆる情念が法によって呼び覚まされるような世の中になることを望んでいる。こうした世においては、野心とは栄光に値しようという要求、祖国に役立とうという欲求んあおである。
一言でいえば、我々は自然の願いを満たし人類の運命を成就し、啓蒙思想の約束を果たすことを望んでいる。フランスが、諸国民の規範にならんことを、抑圧するものにとっては恐怖に、抑圧されている人々にとっては慰めにならんことを、世界の華とならんことを」(203ページ)

 

ホントに崇高だし、やっぱり言葉が巧み。

この本読んでよかったーと思ったのは、人物のこまかーいとこまで結構いろいろ書いてあって、ちょっとイメージしやすかったとこ。ロベスピエールの生い立ちも、書いてあって、地方都市/アラス出身で両親が小さいころにいなくなって、兄弟バラバラで暮らさざるを得なかったり、啓蒙思想に若い時から親しみ、ルソーの大ファンで本人に会ったことがある、とか、ロラン夫人のサロンに出入りしてたけど、彼女が懐柔できなかった唯一の男だった、とかとか。

絶対王政時代に対外戦争しすぎて疲弊する国家の地方都市での生活ってどんなものだったのかなーと、違う興味も掻き立てられますね。苦労した幼少期から革命の時代に32歳で政治家になって世界を変えてやろうと燃える心の行きつく終点が、くしくも自分自身も断頭台へ…

ホント、ドラマチック。

 

<第二革命>

第二革命って言葉も、習ったような気もするけど忘れてました。

  
第一革命 : バスティーユ攻略→1792年8月10日王権停止
第二革命 :王権停止以後。国王を空気のように感じていた民衆が、革命に物質的に参加。  

ジロンド派ジャコバン派の政争が繰り広げられるけど、ジロンド派が「エリートによる革命政府の運営」を目指していた、っていう点も改めて気づき。目指すところの違う人たちが一つのムーブメントを起こしつつも、途中から、方向性の違いで仲たがいしていく…。インディースからデビューして数年で音楽性の違いを理由に解散しちゃうバンドみたいな感じなのか…笑

 

ジロンド派ももれなく粛清されている。1793年10月にロラン夫人も逮捕して処刑。ロラン夫人の回顧録、ちょっと読んでみたいな。夫の名前でバンバンメール出して、政治運動をあおってた人でしょ。やっぱり興味ある。処刑の際の有名な言葉も…

「自由よ、汝の名において、なんと多くの罪が犯されたことか!」

この辺も、フランス革命ってやっぱりヤバいよね。理想と理想がぶつかり合って、断頭台の露と散る…

 

ジャコバン派

ジャコバンの語源も本書にある。解散したジャコバン修道会の建物を利用して集会していたからとのこと。サン・ジュストの演説で気になったとこもメモしておく。

「幸福はヨーロッパにおいて新しい概念である」
「諸君がフランス領土の上に、ただの一人の不幸な人も、ただの一人の抑圧者も欲していないということをヨーロッパが学ばんことを。このフランスの例が地球上に実を結ばんことを。このフランスの例が地球上に美徳への愛と幸福を伝播せんことを。幸福はヨーロッパにおいて新しい概念である」

 

それまでの絶対王政では人民は領主の所有物だったと考えると、これは民衆にとってすごい熱いメッセージだったのでは?革命成就のためなら命だって捧げていい、という時代の空気を端々に感じる。

そして、革命によってはじめて人々が幸せに暮らせる社会が建設できると純粋に信じていた。ここが怖いとこなんですよね。ここから社会革命を加速させる動きになっていくけど、貴族の財産を没収して平民に分配するなど、義賊的な政治なのね。現代日本でも分配が叫ばれてるけど、ホント、それをガチでやったのね。

 

さらなる理想成就に向け、ジャコバン派内でも、ロベスピエールが身内を排除する流れ。同派閥の有力者たちがエベール派とダントン派があいついで革命裁判所で死刑判決を受ける。下記もちょと気づき。左右両方を粛清した。
        
エベール派        民衆運動を率いて革命政府に圧力をかけてきた
ダントン派        寛容派、エベール派と対立しつつ、恐怖政治を批判

 

ホント、不思議なんだけど、自由、平等、博愛が、なんで殺しあう結末に?と不思議に思う。結局、ある政治組織が強すぎる権力を持ちすぎると政治的意見を通すための暴力行為がまかり通るようになって、最終的には殺人にまで行きついちゃうってことなのかな。理想だけでは広範な人間社会の利害は調整できない…てことかなあ。

 

<恐怖政治の終焉>

行き過ぎた恐怖政治はテルミドール9日のクーデターで終焉。以降、バラスを中心とした総裁政府に移行するけど、今度は腐敗の温床に。

 

昨今、日本でも分配がキーワードだけど、フランス革命を見てると行き過ぎた分配は混乱を招くかもしれませんね。もともと、貴族と聖職者が課税に反発して革命が起き、今度はメチャメチャリベラルな理想主義者が政治の中枢で平等を目指して分配を行う…

で、恐怖政治に反発して今度はロベスピエールが処刑されるけど、総裁政府はもっとひどくて、インフレで国民生活がメチャクチャに…

下記引用。

 

「あの頃は血が流れたが、パンは不足していなかった。今は血は流れなくなったが、パンが足りない。こうしてみると血が流れることも必要なことだったのだ」とつぶやきあった

 

理想主義に燃えていたジャコバン派の政治の著者の総括もメモ。

 

ロベスピエールたちはフランス革命の歴史的枠組みを超えたもっと先のこと考えていた。これまで人類が経験したことがないような正義の社会を構築したいという理想があった。貧しさに苦しむ人のいない社会、すべてん人が自由に暮らせる世の中というのは
絵空事ではなく、強い現実性を持っていた。」(266ページ)

 

<帝政へ>

この後、ナポレオンが登場して帝政にいたるまでも書かれているけど、ここでは端折らせていただきます!しかし、このフランス革命の帰結の結論部分も明記されて、この一文にたどり着くために、いろんな人物の群像を知れる本書はメチャメチャ面白かったです。

 

「これまで革命を主導してきた富裕市民層(ブルジョワジー)は、自分で政権を担えるほど十分には政治的に成熟していなかった。そこで、祖国の英雄として、絶大な威信を持つ軍人に政権をゆだねざるを得なかった。」

 

ちょっと、この結論だけだと物足りない部分もあるので、自分自身、もっと勉強が必要だと感じています。政治的成熟度だけが帝政に戻った理由ではなかったはずで、他の政治革命との歴史的背景の違いをちゃんと抑えないといけないと感じる。

「政治的成熟とは何か?」が自分の中でわかってないなー

 

なーんて。

ただこんなにフランス革命にハマるとは思わなかった。出てくる人物一人一人にドラマがあって面白い。中世から近代への歴史的カオスに多くの英雄が理想に、夢に思いをはせた。名もない民衆が、自由、平等、博愛のために戦った…

ホント、歴史ってのはロマンですな!

「物語 フランス革命」を読んだよ!②

引き続き、安達正勝著「物語 フランス革命」を読んでます。いろいろな名言があるけど、久々に「名言やなあ」と思ったのが↓のゲーテの言葉。

 

「この日、この場所から、世界史の新しい時代が始まる」

 

やっぱ世界史ってええなあ笑

本書にヴァルミーの戦いの詳細は書いてあるけど、欧州最高の装備を持つプロシア軍に5か月間負け続け、劣勢に追い込まれたフランス軍が初めて勝利したのがヴァルミーの戦いなんですと。

それまで軍隊の幹部は貴族が担っていたけど、革命の進展とともに戦線を離脱してしまい、烏合の衆の状態だった中、「自由と平等の思想を広めたい」という強い気持ちで戦っていた点がフランス軍の強さの源泉だったんすね!

ほんと、フランス革命知らずして、現代社会で「のほほーん」と生きていては失礼な気持ちになってきますな。

 

他、感想と気づき。

 

<Cityの語源>

パリには最初シテ島にのみ人が住んでおり、Citeが都市を意味し、英語のCityに相当する。現在ノートルダム大聖堂があるシテ島には約2300年前にシテ島にパリジイ族が住み着き、パリの語源になった…

マジで!?Cityって言葉の語源がパリにあったん?知らんかったわ。

あとパリジイって…なんか響きがこう、カッコ悪。

こういうちょっとしたウンチクをさらっと言えるようになると、世界史通みたいでええよね笑

 

<ヴァレンヌ逃亡事件>

ちょっとわかりにくい点に、「国王と国民」は革命当初は仲良そんなにわるくなくて、あるタイミングから仲たがいしてしまうところですね。そのきっかけがヴァレンヌ逃亡事件だったんですね。よーくわかりました。

1791年にベルギー国境近くの要塞に脱出しようとして失敗。従僕に扮して逃げようとした国王に国民は怒り心頭して、王政廃止に一気に傾くんやな。

その後、フランス初の憲法である1791年憲法が制定されてフランスは立憲君主制に移行するけど、著者曰く「魂が入ってない」って抜け殻みたいな立憲国家になってしまったのね。

 

ジロンド派

この派閥が複雑で挫折したんですよね、フランス革命

1792年にジロンド派中心の内閣が組閣される。ジロンド派ジロンド県(フランス南西部、県庁所在地はボルドー)出身者が多い。穏健的な共和派。

…ちょうど今日、ボルドー産のワインこうたんやけど。明治維新みたいな話で地縁でまとまった政治団体なんかなあ。

 

<ロラン夫人>

ジロンド派の中心人物として、よー名前聞くけど、この人も謎。え?旦那が官僚なん?内務大臣なん?で、旦那の職場に机おいて、勝手にメール出してたの?

コンプラどないなってんの?笑

当然、罷免だろ!内務大臣。

 

ちょっと面白かったのが、彫金師の娘で頭よかったって点ですかね。生まれによらず実力主義で活躍するってフランス革命の精神を地でいってる人ですよね。女性に参政権はなかったのに、政治的発言力はあった。このあたりの「自由、平等は口だけじゃない!」ってあたりが、ほんと興味が尽きないね。

 

あと言葉がちょっと格調高い。

「祖国は、想像力が悦に入って美化してきた単なる言葉では断じてありません。
 祖国とは、人々がそのために犠牲を払ってきたもの、それに対する心遣いによって
 日々さらに愛着を感じるもの、人々が大きな努力を重ねて築き上げてきたもの、
 不安の中においても高くそびえたつもの、頼りとする気持ちと同じくらいに奉仕の
 気持ちによっても愛するもの、それが祖国というものであります」『回想録』

 

優れたリーダーは言葉が巧みだけど、ロラン夫人の言葉に革命の志士たちが奮い立った当時の時代の空気みたいなのがええですな!

あと、近代の国民国家への国民の想いみたいなものが、凝縮された言葉だったのかな。王でもなく、地域でもなく、フランスという一個の国…ね!

こーゆー言葉を行ったり来たりして読むと、負けても負けても対仏大同盟が何度でもよみがえる意味が見えてきますな。アンシャンレジーム側の各国から見たら、狂信者の群れですな…

 

てなとこで。酒飲みたいので本日もこんなとこで。ボルドーのワインのも!

 

「物語 フランス革命」を読んだよ!

すっかり秋めいてきましたが、読書の秋!

…ということで、安達正勝著、物語 フランス革命中公新書)を読んでいます。

 

通読したけど、さらっと読めて抑えるとこは抑えられ、ところどころの豆知識が面白かったです!

 

フランス革命の核心>

とりあえず、序盤の革新部分

 

『「国は国家のもの」から「国は国民のもの」という原則に切り替わり、生まれによる身分的差別が原理的に打破された。
革命前は「生まれ=どんな家に生まれたか」「貴族か一般庶民か」といったことで人間の一生がきまるような社会だったが、革命後は個人の才能・実力・努力によって「生まれ」や「身分」には関係なく、だれでも活躍できるような社会に切り替わる。
経済的には、領主への年貢に象徴される封建主義社会から、現在のような資本主義に以降する準備がなされる。』(序章P4)

 

メチャクチャコンパクトにまとめていただき感謝します!

個人の努力が報われる、職業選択を自由にできる、宗教を自由に選べる…

今日、息を吸うように享受している権利を獲得するまでの革命だったということですよね!「国民主権」の概念も見逃せないよね。「自分たち国民一人一人が国の主人」という意識が生まれた…

…選挙、いかなあかんなー。

 

<人口動態>

この点ちょっと興味深かったけど、フランス革命勃発時にフランスは2600万人の人口を有した大国だった点。イギリスやスペインの倍ぐらいの人口でハプスブルグ帝国に匹敵する人口。これを聞くと、ヨーロッパ全体を敵に回して戦えた基礎がここにあると納得。あと、人口構成で若者がやたら多い。3/4が40歳以下。こうした若い平民が新しいムーブメントの原動力になったと想像しますね。

逆に人口で劣るイギリス帝国が世界の支配者になっていく点も見逃せない。この辺は別途、要チェックやな。

 

フランス革命の引き金>

国家財政の破綻し、財政立て直しが急務だった中、多くの土地が教会、修道院、貴族に握られており、そこに課税を目指したルイ16世と第一身分(僧侶)と第二身分(貴族)の対立がことの発端。

 

よくわかりますね…

現代社会とあんまりかわらない構図ですよね、「税金かけまーす」って言われると猛反発する人たち、ってことですかね。せっかくいいアイディアだったのに、「国のためなら賛成してくれるっしょ!」というルイ16世の甘さ…

坊やだからですな…

 

貴族と僧侶は税金に反対するために活動していたが、それとは思惑別に、第三身分(平民)は革命を希求するようになる。1787年6月17日に国民議会を称して独立し、同20日に「憲法制定まで解散しない!」と誓った「庭球場の誓い」を打ち立てる。

ここも世界史上の名シーンですね。総集編で必ずカットできないシーン!

 

<感想>

このあたりのややこしー話がすっと収まっててメチャ理解しやすかった。授業でならったんだけどなー。特に庭球場の誓いって、響きがかっこいいですよね!

引き続き、読んでいきたい一冊ですね!

「ナポレオン-最後の専制君主、最初の近代政治家」を読んだよ つづき

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雨あがりでメチャメチャ天気よくなってきた。

そんな今日も絶賛引きこもってのナポレオンブーム真っただ中。

 

今日も杉本淑彦さんのナポレオンを読んでました。

イタリア戦役からセントヘレナに流されるところまで一気に読みましたが、

やっぱり戦争で勝ちまくってしまうのが、英雄のだいご味ですよね!

 

<イタリア戦役>

ちょっとした気づきというか、イメージだけど、

当時のイタリアに小公国がひしめいてて、そこにフランス革命の波が押し寄せてきた…

という点に思いをはせる。

 

専制の打倒を掲げた革命軍が押し寄せてくるんだが、それを民衆がどうとらえたのか?

 

それでスタンダールのロディ橋での下りが引用されているんですよね。

この自由、平等、専制の打倒!って空気感と、小王国がひしめくイタリアっていう姿が現代人からは理解しにくかったんですけど、ちょっとだけわかってきた。

 

あとメチャメチャ賠償金を取り立てた上に、ローマ時代の彫刻とかを取り上げる。

自由という美辞の元に行われた簒奪に興奮するよね!

 

「天才の産物は自由の共同遺産である。
 これらの傑作はあまりにも長い間、隷属のまなざしによってけがされてきた。
 名高い人々の遺産がとどまらなけらばならないのは自由な諸国の胸の中である。
 奴隷の涙は彼らの栄光にふさわしくない。」

 

ベルギーで収奪したルーベンスらの名画をパリへ移送した軍人画家バルビエが1794年に国民公会でおこなった報告として引用されているけど、今でこそ、美術館で一般市民が美術品を鑑賞することができるけど、そうした「芸術という富の自由」もここで実現したのかと。

あと、この辺での公国の統治が将来のナポレオンの統治能力の基礎につながったというのも見逃せない。そして署名をイタリア風のナポレオーネ・ブオナパルテからフランス語風のナポレオン・ボナパルトに変更したのもこの時期か。

 

<エジプト遠征>

なんとなく、ナポレオン=エジプト遠征のイメージだったけど、なんかあんまうまくいってないのね。オスマン帝国との戦闘やシリア遠征のくだりも、「習ったけどよくわからなかったとこだー」と思ったw

まず、イギリスのインド権益を邪魔しにエジプトに遠征。

しかし、結果的に現地から帰れなくなってしまう

そして、オスマン帝国と本格的にやりあってシリアまでいったけど

ペストなんかもあって、勝利はおさめられず…

 

ということと理解。

なんか思ってたんとちゃうな…という感。

 

印象的なのは、アブギールの戦い後の捕虜交換のとこ。

イギリス司令官シドニー・スミスがフランス本国の苦境が書かれた新聞をわざと見せて、ナポレオンを本国に返そうとする。

エジプト返還交渉を有利に進めたいとの意図でおこなったとのことだけど、ほんと、イギリス、考えることがえげつないわー

しかも、ナポレオン脱出の際のアレキサンドリア港には監視は軍艦1隻だけ…

そこまで考えて行動できますかね。

 

ブリュメール18日クーデター>

ここもクライマックスですよね。

ようやく時系列的にわかってきた…

これを経て、ナポレオンが皇帝になるのねと。

 

ここでまたシェイエスが出てくるのも混乱するんだよな…

革命初期の人物だけど、あとあと出てきてまた政治の中心に戻って来るという。

 

なんか、背景が複雑なのよ。

結局、フランス革命の中で生まれた王党派や急進的な共和派との関係を断つために

強権的穏健共和派がクーデターを起こした

 

…て時点で脳がオーバーヒートするわ。

この辺、もうちょっとフランス革命を勉強しなおさなな…

 

<コンコルダート>

皇帝即位後の戦争での勝利より、大きな気づきはコンコルダート。

コンコルダートて、なんかあったような気がするけど、完全に忘れてました。

ちょっとまとめて…

 

1801年7月15日    ローマ教皇とフランスの間で300年ぶりに改訂された協約    

要点    
①    フランス王国に代わりフランス共和国教皇が認める
②    フランス共和国カトリックがフランス人大多数の宗教であることを承認
③    教皇は革命期に没収された教会財産の返還を求めないことに合意
     教会財産を継承した農民や富裕層は最大懸念が解消
④    返還求めない見返りに聖職者はフランス共和国が俸給を支給する
    
コンコルダートはフランス革命に打たれた終止符の一つ    
私有財産の不可侵というブルジョア革命の眼目がローマ教皇から公認    

 

そうなんだよなー。

もともと、聖職者と貴族の土地を取り上げて始まった革命の中で、

宗教勢力との対立もあったという観点が抜けていたんだよなー

それを皇帝になったナポレオンが取りまとめていったと。

このあたりも掘り下げて勉強してみたいところだよなー。

 

さて、全部通読できたけど、こっから没落するところは

悲しいだけなのでもーいいやw

アミアンの和約でイギリスとも和平を結べたところが頂点で

あと負け戦を重ねていくのはもうどうでもええねん。

 

政治的なカオスが英雄の出現で一気に統合されていくダイナミックさが

やっぱりナポレオンの魅力ですよね。

でもやっぱりその背景を知るには、フランス革命をもーちょっとよくわかる必要ありだな。

高校生から人生やり直すか…

 

 

 

 

「ナポレオン-最後の専制君主、最初の近代政治家」を読んだよ

一発目、この週末に読んだ「ナポレオン-最後の専制君主、最初の近代政治家」についてメモを。

 

そもそも、なんでこの本読んだかって、長谷川哲也の「ナポレオン獅子の時代」って漫画にハマったからですねw

画風が北斗の拳に似てるなーと思いなが暇つぶしで読み始めたら、とにかく出てくるキャラみんなカッコイイ。

でも、「そういえば、俺、全然フランス革命からナポレオン帝政の歴史、知らんやん」って気づいちゃったんですよね。そんなこんなで読んでみました。

 

コルシカ島

そもそも、ナポレオンて島出身なんですね。生粋のフランス人かと思ってた…

無知なんでw

 

「ヨーロッパには、立法の可能性な地域がまだひとつのこっている。コルシカ島である」

 

この本、このルソーの一説から始まるけど、「ジェノバ共和国の一部からフランスへ統治権が売られる…」

もうここからついていけてないw

 

あらためて、地中海の地図を拝見。コルシカは「広島県ぐらいの面積」とあるけれど、イタリアとフランスの間のそこそこでかい島なのね。ボナパルト家自体が、16世紀、トスカーナから移住してきた貴族の家系ともあり、再び驚き。え!?イタリアンだったの?「あーそんで、漫画ではナポリオーネって名乗ってたのね」なーんて…ねw

無知って罪w

 

とにかくナポレオンは軍事の天才!というイメージだったが、同時に読書家で、政治家としての素養があったというのも、ちょっと気づき。ナポレオン法典なんて作っちゃうぐらいだから、そりゃそうか。

 

フランス革命時代、「ナポレオンの立ち位置はブルジョア階層側」と記されてる。フランス革命自体も推移が複雑で、ここもよくわからなくなる点なのよね。貧乏貴族だけど、えらい勉強できて、軍人上がりで体も頑強…ってステータスましましで引くわ。

あと、「ジャコバンクラブで積極的に活動。軍務の傍ら『共和制か王政』かとの論説を記す」との点も。軍人やりながら政治について論評も書けちゃうの、何なの…

革命を支持する軍人って立ち位置もちょっと現代人には「?」なんだよなー。やっぱり当時の啓蒙思想って、すごい感化力だったのかな。

ことごとくみんな、啓蒙思想に傾倒してるやん。なんか、近世を理解するには啓蒙思想をよけて通れないよな。「自由!」「専制の打倒!」って時代の空気、やっぱりフランス革命の時系列をよーく理解しないと全然わからん!

 

<頭角>

軍人としてキャリアで頭角を現すのがトゥーロンでの功績。「これ…小ジブラルタルのとこだ!」と、興奮しましたが、同時にパリではジロンド派ジャコバン派の争いが急進しているんだよな。

 

で、「ナポレオンは山岳派の指導者、オーギュスタン・ロベスピエールの庇護を受けるようになった」とある。しかも、目に留まったきっかけが、ナポレオンが山岳派有力者に送った『ボーケールの晩餐』という小冊子がきっかけ、とある。

 

「え!ロベスピエールって兄弟で議員だったんか…?」

「そいで、ナポちゃん、文才もあるんや…」と驚きにつぐ驚き。

ホンマもんの天才やん…

 

あと、兄貴のほうのマクシミリアンの恐怖政治の話もさらっと触れられてるけど、逮捕50万、うち処刑1万6000名。さらっと書いてあるけどすごない?

漫画でもこの恐怖政治の終焉でナポレオンも逮捕、保釈されてたけど「?」だったが、密に山岳派とかかわっていたことがわかって納得。本書には「私信にロベスピエールを名をあげて支持しなかった」とあったが、この辺の臭覚やらセンスが、政治家で成功した秘訣なんかなあ、と思った次第。

 

こっから、対仏大同盟との戦争でイタリアで活躍することになるけど、この辺が高校の授業とかで聞いてても全然よくわかってなかったな。なんでイタリアやねんと思ってたけど、オーストリアの勢力圏で小国家がひしめいている地域なんですね。

 

当時の戦争は賠償金で戦費を賄うとい側面も納得。「国メッチャクチャなのに、ようやるわ」と思ってけど、財政を立て直すために戦争での勝利が必要だったのねー

 

<政権欲>

やっぱり、世界史的には戦争の話が主になりがちだけど、イタリア戦役がナポレオン伝説の始まりになったのね…目を引いたのが、スタンダールパルムの僧院の冒頭分の話。

 

「民衆はひとり残らずこの1796年5月15日をもって、これまで自分たちが尊重してきたあらゆるこおとがらが、じつにばかげた、忌々しいものであることに気づいた。オーストリアの連帯がすべて撤退したことは、旧思想の没落を画した」

 

…気づいちゃったかーw

13歳のスタンダールは1796年ミラノに入ったナポレオンを同時代人としてそのニュースを知っていて、本筋と関係ないけど、自分の小説に書き入れてしまった、とのこと。やはり、「王政=専制」「自由のための戦い」という時代的空気、ここに凝縮されている気がするんだよね…

 

はいということで、まだ半分ぐらいですが、もうそろそろ酒飲みたいので本日ここまで!w

この辺の「新しい時代!」「専制という悪を打倒!」みたいな空気はもうちょっと深く知りたいね!啓蒙思想が基礎を作って、フランス革命が着火剤になって、ナポレオンが国家を作った、ということになっていくんだと思うけど、「いま私たちが当たり前と思っている、職業の選択の自由とか、私有財産の権利とか、それを勝ち取るための戦い」って考えると、みんなが大興奮している理由もわかるのかもしれないね!

でも、大砲に肉弾戦で挑んだり、メチャクチャではある。そこまでしても王政を打倒したいという気持ち、メンタリティー、スピリット…。ワクワクですな!

 

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開設!

ブログを開設してみました。

読書が趣味なんですが読みっぱなしになりがちで、どっかにアウトプットしないとなーと思いつつ、いろいろやってみましたがどれも長続きせずw

 

読書ノート作ったり、エクセルに要約したり、労多くして得るものなく挫折…

なので自分用にまとめのために書いていこうと思います。

 

駄文、見苦しいですが、ご容赦ください。