「ナポレオン-最後の専制君主、最初の近代政治家」を読んだよ つづき

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雨あがりでメチャメチャ天気よくなってきた。

そんな今日も絶賛引きこもってのナポレオンブーム真っただ中。

 

今日も杉本淑彦さんのナポレオンを読んでました。

イタリア戦役からセントヘレナに流されるところまで一気に読みましたが、

やっぱり戦争で勝ちまくってしまうのが、英雄のだいご味ですよね!

 

<イタリア戦役>

ちょっとした気づきというか、イメージだけど、

当時のイタリアに小公国がひしめいてて、そこにフランス革命の波が押し寄せてきた…

という点に思いをはせる。

 

専制の打倒を掲げた革命軍が押し寄せてくるんだが、それを民衆がどうとらえたのか?

 

それでスタンダールのロディ橋での下りが引用されているんですよね。

この自由、平等、専制の打倒!って空気感と、小王国がひしめくイタリアっていう姿が現代人からは理解しにくかったんですけど、ちょっとだけわかってきた。

 

あとメチャメチャ賠償金を取り立てた上に、ローマ時代の彫刻とかを取り上げる。

自由という美辞の元に行われた簒奪に興奮するよね!

 

「天才の産物は自由の共同遺産である。
 これらの傑作はあまりにも長い間、隷属のまなざしによってけがされてきた。
 名高い人々の遺産がとどまらなけらばならないのは自由な諸国の胸の中である。
 奴隷の涙は彼らの栄光にふさわしくない。」

 

ベルギーで収奪したルーベンスらの名画をパリへ移送した軍人画家バルビエが1794年に国民公会でおこなった報告として引用されているけど、今でこそ、美術館で一般市民が美術品を鑑賞することができるけど、そうした「芸術という富の自由」もここで実現したのかと。

あと、この辺での公国の統治が将来のナポレオンの統治能力の基礎につながったというのも見逃せない。そして署名をイタリア風のナポレオーネ・ブオナパルテからフランス語風のナポレオン・ボナパルトに変更したのもこの時期か。

 

<エジプト遠征>

なんとなく、ナポレオン=エジプト遠征のイメージだったけど、なんかあんまうまくいってないのね。オスマン帝国との戦闘やシリア遠征のくだりも、「習ったけどよくわからなかったとこだー」と思ったw

まず、イギリスのインド権益を邪魔しにエジプトに遠征。

しかし、結果的に現地から帰れなくなってしまう

そして、オスマン帝国と本格的にやりあってシリアまでいったけど

ペストなんかもあって、勝利はおさめられず…

 

ということと理解。

なんか思ってたんとちゃうな…という感。

 

印象的なのは、アブギールの戦い後の捕虜交換のとこ。

イギリス司令官シドニー・スミスがフランス本国の苦境が書かれた新聞をわざと見せて、ナポレオンを本国に返そうとする。

エジプト返還交渉を有利に進めたいとの意図でおこなったとのことだけど、ほんと、イギリス、考えることがえげつないわー

しかも、ナポレオン脱出の際のアレキサンドリア港には監視は軍艦1隻だけ…

そこまで考えて行動できますかね。

 

ブリュメール18日クーデター>

ここもクライマックスですよね。

ようやく時系列的にわかってきた…

これを経て、ナポレオンが皇帝になるのねと。

 

ここでまたシェイエスが出てくるのも混乱するんだよな…

革命初期の人物だけど、あとあと出てきてまた政治の中心に戻って来るという。

 

なんか、背景が複雑なのよ。

結局、フランス革命の中で生まれた王党派や急進的な共和派との関係を断つために

強権的穏健共和派がクーデターを起こした

 

…て時点で脳がオーバーヒートするわ。

この辺、もうちょっとフランス革命を勉強しなおさなな…

 

<コンコルダート>

皇帝即位後の戦争での勝利より、大きな気づきはコンコルダート。

コンコルダートて、なんかあったような気がするけど、完全に忘れてました。

ちょっとまとめて…

 

1801年7月15日    ローマ教皇とフランスの間で300年ぶりに改訂された協約    

要点    
①    フランス王国に代わりフランス共和国教皇が認める
②    フランス共和国カトリックがフランス人大多数の宗教であることを承認
③    教皇は革命期に没収された教会財産の返還を求めないことに合意
     教会財産を継承した農民や富裕層は最大懸念が解消
④    返還求めない見返りに聖職者はフランス共和国が俸給を支給する
    
コンコルダートはフランス革命に打たれた終止符の一つ    
私有財産の不可侵というブルジョア革命の眼目がローマ教皇から公認    

 

そうなんだよなー。

もともと、聖職者と貴族の土地を取り上げて始まった革命の中で、

宗教勢力との対立もあったという観点が抜けていたんだよなー

それを皇帝になったナポレオンが取りまとめていったと。

このあたりも掘り下げて勉強してみたいところだよなー。

 

さて、全部通読できたけど、こっから没落するところは

悲しいだけなのでもーいいやw

アミアンの和約でイギリスとも和平を結べたところが頂点で

あと負け戦を重ねていくのはもうどうでもええねん。

 

政治的なカオスが英雄の出現で一気に統合されていくダイナミックさが

やっぱりナポレオンの魅力ですよね。

でもやっぱりその背景を知るには、フランス革命をもーちょっとよくわかる必要ありだな。

高校生から人生やり直すか…