「国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源」を読んだよ③
今日も集中して読書できました。引き続き、「国家はなぜ衰退するのか 権力・繁栄・貧困の起源」を読んでますが、うーん、考えさせられることばかり…
<ローマ共和制→帝政>
一時、塩野七海にハマってた時期があって、ローマ人の歴史読んでたなあ。
と、思いつつも、ローマの衰退も共和制から帝政になったことにより、社会がより収奪的になった要素を指摘されていて、うーんとうなった。
元老院の権限が大きくて、グラックスやカエサルは元老院に反発するも、最後、死に追いやられる。その後、アウグストゥスが元首制に移行させていく、ってとこはなんとなくイメージあったけど、その後、ローマは最大版図、繁栄を極めていくイメージが強かったので、帝政ってそない、悪いことなの?とも思った…
でも、結果的にいろんな弊害があったとのこと。
職業軍人の近衛兵の設置→皇帝の決定に影響力を与えるようになる
市民が軍務から離脱できない→一般のローマ人が政治に代表を送れなくなった
それからちょっと意外だったのが、紀元後14年、ティベリウスの治世。平民会をなくし、ローマ市民は政治的発言力を失った代わりに、無料のワイン、オリーブオイル、豚肉を恵んでもらった。そしてサーカスと剣闘士の試合を楽しんだ…と
この辺りは背筋の寒くなる思いが(汗)こんな政治への参加権を取り上げる、みたいな話だったかなと笑
ローマの歴史も復習したい
これも以外だった。ローマと言ったら、水道橋とか街道とか、土木建築のテクノロジーが発展しているイメージだったが、実際はイノベーションを否定・・・というより技術を支配したとの記述。こんなエピソードが。
割れないガラスを発明した男がティベリウス帝に会いに行ったところ、拉致され殺されてしまった。ティベリウスのコメントとして、「金の価値がなくなってはいけない」と…
この本の一つ通底するテーマで、収奪的制度、収奪的政治体制っていうのは、単に搾取じゃなくて、「創造的破壊を否定する」というポイントがある。16世紀のウィリアム・リーの靴下編み機のエピソードなんかも紹介されてて、「そ、そんなバカな」とうならせられる。
このあたりの権力者が発明を踏みにじっていく歴史は涙なくしては読めないね…
<イングランドの繁栄>
イギリスがなぜ産業革命を起こせたのか?その理由を追って、我々は13世紀まで時をさかのぼった…って感じで、話が展開されていくけど、英国の成功の歴史がコンパクトに、かつ豊富なエピソードと一緒にまとまっていて面白かった!
清教徒革命と名誉革命は勉強しなおさないとなーと思っていたけど、かいつまんで書いてあって助かりました。
王の課税権や司法への関与に制限をかける取り組みと、ジェントリ、製造業者、貿易業者など、多様な集団の利害について、議会が耳を傾ける仕組みがイングランドの繁栄に結び付いたと論が展開される。いやー、話がしみ込んでくる感じが快感でしたわ。
一方でこうした成功は偶然の産物とも。名誉革命で議会側が敗北していた可能性もある、と書かれていたけど、この辺のミクロな経過ももっとよく知ったら面白いかも。
そのほかの国の政治的状況も面白かったけど、また今度。とりあえず上巻読み終わりました。